農薬のミステリー:ヒトに影響は本当に少ないの?

有機JAS栽培に携わって丸2年になる、ひご自然食品の久保です。有機JASで栽培することは、慣行栽培で使われる農薬を使わないことが前提になります。実際農薬はどんなものがあるのでしょうか?神経系攪乱、消化管の細胞破壊、昆虫ホルモン攪乱を起こすもので、ヒトには害が少ないようでした。ただ、影響が少ないとはいえ、作用機序を調べると恐ろしいものでした。

農薬の種類を詳しく説明していきます。

参照元:JCPA農業工業会

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神経機能攪乱タイプ

普及している有機リン剤は、神経機能を混乱させ、その効果を発揮します。ヒトと昆虫の神経系は基本的に同じ構造や機能を持っているため、神経機能を阻害するこの種の薬剤は、ヒトにも悪影響を与える可能性があります。ただし、有機リン剤は一般的に昆虫に対しては哺乳類に比べて強力で、数百倍から数千倍もの効果を示すことが一般的です。

ヒトに対する毒性を軽減し、高い「選択性」を実現したのがフェニトロチオンという成分です。ヒトの体内で無害化・排泄される性質と、殺虫成分が脳神経系に到達する量が少ないために、その選択性が向上していると考えられています。

殺虫成分が変温動物に効果がある!?

ピレトリンを由来とする合成ピレスロイド剤は、ヒトや家畜に対する毒性が比較的低く、逆に多くの害虫に対して強力な効果があります。これは、哺乳類では殺虫成分が神経系に到達する際に速やかに代謝・分解され、解毒されるためです。また、ピレスロイドは低温での効果が顕著であり、昆虫(変温動物)に対する効果が哺乳動物(恒温動物)よりも強く現れることも、その選択性が生じる一因と言われています。

消化管の細胞破壊

BT剤は、特定の細菌、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)が生成する殺虫性タンパク質を利用しています。ヨトウムシやアメリカシロヒトリなどのアルカリ性の消化液を持つ害虫が、BT剤が付着した葉を摂取すると、消化管内のアルカリ条件と分解酵素が作用して殺虫性タンパク質が活性化します。この殺虫性タンパク質により、害虫の消化管細胞が破壊され、結果として害虫は死亡します。ただし、ミツバチや哺乳類のように酸性の消化液を持つ生物では、BT剤による毒性は現れません。

表皮、脱皮、変態を乱す薬剤

昆虫に特有の脱皮や変態を妨げ、最終的に殺虫効果を現す薬剤です。IGR剤を大きく分けると昆虫の表皮の形成を妨げるタイプと、脱皮や変態にかかわる昆虫ホルモンの働きを乱すタイプがあります。

①昆虫の表皮(殻)はタンパク質とキチンを主成分としていますが、ヒトにはこのキチンの生合成機能がありませんから、キチンの生合成を妨げる薬剤は動物やヒトには毒性を現わさないのです。

②植物の光合成を阻害するタイプの除草剤は、光合成を行わないヒトや動物にはほとんど作用しません。

③植物の病気の主な原因となる糸状菌(カビ)の細胞膜は、微生物に特有なエルゴステロールが主な成分です。このエルゴステロールの生合成を阻害するタイプの殺菌剤はエルゴステロールを持たないヒトや家畜に対して、ほとんど作用しないため安全性が高い薬剤といわれているのです。

まとめ 恐ろしい農薬の様々な虫への効果

現在の農薬は人体への影響を考慮されているものがほとんどです。ただ、農薬が虫や植物に影響を及ぼす作用機序を調べると、とても恐ろしいものだと感じました。今後も農薬を使わない有機JASを使うことで、ヒトや動物への安全を守っていきます。

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